急に目が痛くなった…目の痛みの原因とは?

急に目が痛くなることがあります。目の痛みはどのような時に起こるのでしょうか?

目が痛くなる原因の多くは、目の表面、特に黒目(角膜かくまく)の表面を走る神経に関係しています。この神経は三叉神経さんさしんけいといわれるもので、12ある脳神経のうしんけいのうちの第5脳神経です。三叉というのはこの神経が眼神経がんしんけい上顎神経じょうがくしんけい下顎神経かがくしんけいの3本に分かれることに由来しています。この神経は非常に繊細なので、角膜に少しでも傷がつくと痛みとして感じてしまいます。涙が出て、目が開けられないくらい痛くなることもあります。

ここでは眼科外来でよく遭遇する以下の病気について見ていきます。

目に傷がついている(角膜上皮障害かくまくじょうひしょうがい

目の表面、特に角膜に傷がつくと、痛みや異物感を自覚します。

角膜の三叉神経は非常に繊細なので、少し傷がついただけでも敏感に反応してしまう方もいます。強い痛みを感じ、目が開けられなくなったり、涙が止まらなくなったりすることもあります。

1.原因

角膜に傷がつく原因はさまざまです。

目をこすったり、目に物が当たったりして傷つくこともあれば、ドライアイや結膜異物、逆さまつ毛などで傷つくこともあります。

2.治療

角膜の傷はすぐに治癒します。ただし細菌感染を起こすことがあり、その場合は早急な治療が必要になります。早めに眼科受診をしましょう。

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目に入った異物(結膜異物けつまくいぶつ角膜異物かくまくいぶつ

目にゴミが入った、というのはとても多い訴えの一つです。これを結膜異物といいます。

目に何か異物が入るとそれが刺激になって、痛みや異物感が起こります。

注意が必要なのは、作業中や工事現場などで異物が目に勢いよく入った場合です。角膜に突き刺さることがあり、角膜異物といいます。角膜異物は放っておくと細菌感染を起こすことがあるので、すぐに除去しなければなりません。

目の痛みからは話がそれてしまいますが、酸性やアルカリ性の液体が目に入ったときは緊急な対応が必要になります。できるだけ早く水で目を洗いましょう。水道水でよいので流しっぱなしにして洗ってください。少なくとも10分間は流水で洗い、速やかに眼科を受診しましょう。

1.原因

結膜異物の原因となるものはさまざまです。抜けたまつ毛や砂、洋服の線維、洗顔料のスクラブなどがよく見かける異物です。

角膜異物は金属を加工している作業場で起こることが多いようです。

金属加工やアルカリ溶液などで作業をする方は必ずゴーグルなどを着けて自分の目を守るようにして下さい。

2.治療

通常、結膜異物は目を水で流すとすぐに取れます。ただし、上まぶたの裏側に入ってしまうとやっかいで、自分ではなかなかとることができません。眼科を受診しましょう。

角膜異物の除去は眼科でしかできません。鉄片が刺さった場合、時間がたつと角膜が錆付いてしまい治療が難しくなります。細菌感染を起こすこともしばしばです。作業中に異物が入ったら放置せず、できるだけ早く眼科を受診しましょう。

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さかまつさかさまつ

逆まつ毛(さかまつげ)、逆さまつ毛(さかさまつげ)と一般にいわれているものにはいくつかの種類があります。

まつ毛が目の表面に当たることで痛みや異物感の原因になり、ひどい場合は角膜を傷つけてしまいます。

1.睫毛乱世しょうもうらんせい睫毛重生しょうもうじゅうせい

睫毛乱生では内側に向かって生えるまつ毛があり、目の表面に当たってしまいます。1本だけのこともあれば、何本もみられることもあります。

正常なまつ毛の並びの内側にもまつ毛が生えることがあり、睫毛重生といいます。目に近い所から生えているので、目の表面に当たりやすくなります。

まつ毛を抜くことで一時的に症状は無くなりますが、また生えてくるので根本的な治療にはなりません。根治するために睫毛電気分解や冷凍凝固、光凝固を行い、毛根を壊してしまうことがあります。

2.眼瞼内反がんけんないはん

まぶたの縁が内側を向いている状態です。まつ毛が目の表面に当たりやすくなります。

乳幼児にみられる先天性のものは、多くの場合成長とともに自然に治ります。治らないときには、まぶたが外側を向くように手術を行うことがあります。

高齢者にみられる加齢性のものは下まぶたに多く起こります。初めは指で抑えると内側に向いてしまったまぶたを元に戻すことができますが、次第に戻らなくなります。手術で治すことができます。

3.睫毛内反しょうもうないはん

乳幼児ではまつ毛が内側に向かって生えていることがあり、特に鼻側にみられます。

目の表面を刺激するので、まばたきが多くなることがあります。

通常は成長とともに治っていきます。

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ドライアイ

ドライアイは涙液減少型と蒸発亢進型に大きく分けられます。つまり涙の量が少ない人と、涙の量は正常でも涙の蒸発がとても早い人がいるということです。もちろんこの両方の混合型の方もいます。

ドライアイで目が乾くと目の表面に傷がつき痛みや異物感を生じます。

1.原因

涙の大部分は目の外側斜め上にある涙腺という組織で作られ、まばたきによって目の表面に広がっていきます。この涙の量が減少したり、涙の質が悪くなって蒸発しやすくなったりすることでドライアイになります。

加齢やシェーグレン症候群、スティーブンス・ジョンソン症候群などの病気だけでなく、乾燥した環境やコンタクトレンズ装用、スマートフォンやパソコンの使用も原因になります。また最近ではLASIKを受けた後に一時的にドライアイになることも知られています。

2.治療

ドライアイの治療は目薬の使用が中心になります。主に使用されるのは、ヒアルロン酸ナトリウムを含む点眼薬と人工涙液です。ヒアルロン酸ナトリウム製剤で目の表面を保護、保湿し、人工涙液で不足した涙を補います。近年ではその他に、ムチンや水分の分泌を促進する点眼薬(ジクアホソルナトリウム)、ムチンを産生する点眼薬(レパミピド)も用いられています。

点眼薬以外では涙点プラグという治療があります。特に、点眼薬で効果が不十分な場合や、重症のドライアイの患者さんに行われています。涙の出口である涙点に涙点プラグと呼ばれるシリコンの栓をして、目に涙を溜める方法です。プラグは簡単に挿入でき、外すこともできます。涙点にコラーゲンを注入して塞ぐ方法もありますが効果は一時的です。

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麦粒腫ばくりゅうしゅ

麦粒腫は、俗に「ものもらい」、「めばちこ」、「めぼ」、「めいぼ」などと呼ばれるものです。

まぶたの縁の一部が赤く腫れ、痛みを感じます。炎症が強いとまぶたが大きく腫れたり、白目が充血したりすることもあります。進行すると中に膿が貯まりますが、ほとんどの場合は自然に潰れて膿が出たのち、時間をかけて治っていきます。

ただし、まれに感染が周りに広がり、眼瞼膿瘍がんけんのうよう眼窩蜂窩織炎がんかほうかしきえんという重篤な状態になることがあります。麦粒腫ができたら早めに眼科を受診しましょう。

1.原因

まぶたに存在する腺に細菌が感染することで起こります。皮脂腺(Zeis腺)や汗腺(Moll腺)にできたものを外麦粒腫、マイボーム腺にできたものを内麦粒腫といいます。

原因菌の大部分は、まぶたの常在菌である黄色ブドウ球菌や表皮ブドウ球菌です。

誤解されていることがありますが、基本的に他人にうつるものではありません。

2.治療

細菌感染が原因なので、基本的には抗生剤で治療します。点眼や軟膏の塗布、内服が行われます。

膿が貯まっている場合は、針で刺したり切開したりして排膿すると、治りが早くなることもあります。

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緑内障発作りょくないしょうほっさ

緑内障発作は失明につながる非常に恐ろしい病気です。緑内障発作では急激な眼圧がんあつ上昇が起こります。眼圧の高い状態が続くと、視神経が障害されて視野しや欠損を生じ、さらに進行すると失明に至ります。この視神経の障害は一度生じると二度と治らないので、できるだけ早く治療することが大切です。

緑内障発作では充血や目のかすみ、目の痛みだけでなく、眼圧上昇により頭痛や吐き気などの症状も起こります。

1.原因

相対的瞳孔ブロックとプラトー虹彩こうさいが病態として知られています。ほとんどは相対的瞳孔ブロックによるもので、主な機序は以下の通りです。

相対的瞳孔ブロックとは、水晶体すいしょうたい前面と虹彩裏面との間で房水の流れがブロックされることをいいます。瞳孔ブロックが起こると、後房圧の上昇により虹彩が膨隆し房水の出口である線維柱帯せんいちゅうたいを塞いでしまうため、急激な眼圧上昇が起こります。

2.治療

救急疾患なので休日や夜中であっても、大学病院など救急外来をやっている眼科を探して受診してください。早期に適切な治療を行わないと視神経に不可逆的なダメージを与えてしまいます。

治療は原因となっている瞳孔ブロックを解除し、眼圧を正常に戻すことです。まずは点眼や点滴で治療しますが、レーザー治療や手術が必要になることもあります。

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