光がまぶしいと感じる原因は?よくある病気とは

普段より光がまぶしいときは、目の中の光が通る道筋のどこかに異常が起きている可能性があります。

光は角膜かくまくから目の中に入り、水晶体すいしょうたい硝子体しょうしたいを通って網膜もうまくに達します。そのどこかに異常があると光が乱反射という現象を起こし散らばるため、まぶしくなります。また、網膜の障害でもまぶしさを感じることがあります。

角膜の表面が傷つくドライアイ、水晶体が濁る白内障、網膜が障害される網膜色素変性などが光をまぶしく感じる代表的な疾患です。また眼瞼がんけんけいれんでもまぶしさを感じる患者さんがたくさんいます。

ここでは眼科外来でよく遭遇する以下の病気について見ていきます。

ドライアイ

ドライアイは涙液減少型と蒸発亢進型に大きく分けられます。つまり涙の量が少ない人と、涙の量は正常でも涙の蒸発がとても早い人がいるということです。もちろんこの両方の混合型の方もいます。

ドライアイでは目が乾くだけでなく、目がゴロゴロする、目が疲れる、目がかすむ、光がまぶしいなど、様々な症状が起こります。

1.原因

涙の大部分は目の外側斜め上にある涙腺という組織で作られ、まばたきによって目の表面に広がっていきます。この涙の量が減少したり、涙の質が悪くなって蒸発しやすくなったりすることでドライアイになります。

加齢やシェーグレン症候群、スティーブンス・ジョンソン症候群などの病気だけでなく、乾燥した環境やコンタクトレンズ装用、スマートフォンやパソコンの使用も原因になります。また最近では、LASIKを受けた後に一時的にドライアイになることも知られています。

2.治療

ドライアイの治療は目薬の使用が中心になります。主に使用されるのは、ヒアルロン酸ナトリウムを含む点眼薬と人工涙液です。ヒアルロン酸ナトリウム製剤で目の表面を保護、保湿し、人工涙液で不足した涙を補います。近年ではその他に、ムチンや水分の分泌を促進する点眼薬(ジクアホソルナトリウム)、ムチンを産生する点眼薬(レパミピド)も用いられています。

点眼薬以外では涙点プラグという治療があります。特に、点眼薬で効果が不十分な場合や、重症のドライアイの患者さんに行われています。涙の出口である涙点に涙点プラグと呼ばれるシリコンの栓をして、目に涙を溜める方法です。プラグは簡単に挿入でき、外すこともできます。涙点にコラーゲンを注入して塞ぐ方法もありますが効果は一時的です。

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白内障はくないしょう

白内障とは、目の中にある水晶体という部分に濁りが生じ、霧視むし(目のかすみ)や視力低下をおこす病気です。

水晶体はカメラにおけるレンズの役割を果たす組織です。目に入った光は水晶体で屈折し、フィルムの役割をする網膜に焦点を結びます。水晶体は近くを見るときは分厚く、遠くを見るときには薄く変化することで、網膜にピントを合わせています。これを調節といい、年をとって調節する力が落ちてくると老眼(老視)になります。白内障が進行するとピントが合いにくくなり、物が二重に見えてしまいます。

1.原因

白内障の原因で最も多いのは加齢です。加齢とともに水晶体に濁りが出てくるもので、老人性白内障や加齢性白内障といわれます。これは肌にしわやシミができたり、髪の毛に白髪が出てきたりするのと同じで、年をとると誰にでも起こる加齢性の変化、つまり老化現象の一つです。そのため、白内障による症状の出てくる年齢や進行速度には当然個人差があります。

加齢のほかには、アトピー性皮膚炎や糖尿病などの病気に伴うものや、目をぶつけたときにおこる外傷性白内障、ステロイド薬の使用によるものなどがあります。

2.治療

白内障の根本的な治療法は手術です。一度濁ってしまった水晶体をきれいな状態に戻すことはできません。濁った水晶体を取り除き、眼内レンズという人工のレンズに取り替える手術が行われます。

透明なレンズに交換するので、目のかすみはとれ、視力も改善します。しかし水晶体と違い、人工のレンズは厚みを変えることができないので、手術後も老眼は治りません。手術後に状態が落ち着いてから、眼鏡(老眼鏡など)を作成します。

軽い白内障では白内障用の点眼薬を使用することもあります。白内障の進行を少し遅らせることができるといわれていますが、白内障を治したり、進行を止めたりすることはできません。

3.白内障の手術時期

白内障があればすぐに手術を受けなければならないわけではありません。白内障は年をとると誰にでも起こるものです。ではどういった人が手術を受けるのでしょうか?

一般的に、目のかすみや視力低下といった症状が進行し日常生活に不自由を感じたとき、症状に困ったときが手術の時期といわれています。

ただし目の状態によっては、症状がほとんどなくても早めに手術をした方がよい場合があります。また、困らないからといって長年放置しておくと、いざ手術を希望したときには白内障が進行しすぎており手術が難しくなってしまうこともあります。60代、70代になったら定期的に眼科を受診しましょう。

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網膜色素変性もうまくしきそへんせい

網膜の視細胞のうち、杆体かんたいといわれる明暗の感覚に関与する細胞が障害される病気です。杆体は周辺網膜に分布しています。この杆体が障害されることによって、暗いところで物が見えにくくなったり(夜盲やもう)、視野が狭くなったりする症状が起こります。日常生活では、まぶしく感じる、全体的に白っぽく感じるという症状もみられます。

病気の進行には個人差がありますが、徐々に視力が低下していき、最終的には失明に至ることもあります。

1.原因

網膜色素変性は遺伝することが有名です。たくさんの原因遺伝子が特定されていますが、明らかな遺伝が確認できる患者さんは半数程度です。

2.治療

現在のところ網膜の機能を正常にしたり、進行を止めたりする確立された治療法はありません。対症療法としてまぶしさを軽減する遮光眼鏡を使用することがあります。

また、ビタミンAや網膜循環改善薬の内服を行うこともあります。ビタミンAに病気の進行を遅らせる働きがあるという論文はありますが、すべての患者さんにあてはまるわけではありません。循環改善薬で視野の広がりがみられることもあるようです。

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眼瞼がんけんけいれん

眼瞼けいれんとは、閉瞼へいけんに関わる筋肉の過度な収縮により無意識のうちに閉瞼が生じる状態です。まばたきの制御異常ともいえます。眼瞼けいれんの患者さんの多くがまぶしさを訴えます。

初期のころは目の不快感を訴え、まばたきの回数が多くなり、時にまぶしさを感じます。軽症の場合、まぶしさしか症状がないこともあります。症状は多彩ですが、その中でも眉毛の下降は特徴的です。

典型的には、まぶしい、目が開かない、まぶたが下がる、涙が出る、頭痛、耳鳴りなどの症状がみられ、また半数近くの方が目の乾きを訴えます。そのためドライアイと間違われて治療されていることがよくあり、この場合はドライアイの治療がなかなか奏功しません。

眼瞼けいれんは本態性と続発性に分けられます。続発性には症候性と薬剤性があります。

1.本態性眼瞼ほんたいせいがんけんけいれん

両側性で中高年の女性に多く、疲労やストレスで増悪します。長期間放置していると悪化し、働くことや車を運転することさえできなくなる可能性があるので要注意です。

①原因

本態性という名前の通り、他の異常が原因となっていないものをいいます。大脳基底核の障害が病因ではないかと推定されていますが、はっきりしていません。

けいれんがその他の顔面筋や、さらには頚部筋にまで広がるものをMeige症候群と呼びます。このMeige症候群は局所ジストニアの一種なので、本態性眼瞼けいれんもジストニアの一種ではないかという説もあります。ジストニアとは、体のいくつかの筋肉が無意識に収縮しゆがみやじれが生じるものです。

②治療

本態性眼瞼けいれんの治療には、ボツリヌス毒素の注射と、抗けいれん薬や抗コリン薬、抗不安薬などの内服があります。

ボツリヌス毒素はボツリヌス菌により産生される神経毒素です。眼瞼けいれんだけでなく、片側顔面けいれんや痙性斜頸けいせいしゃけい、小児脳性麻痺患者における下肢痙縮かしけいしゅくに伴う尖足せんそくなどの治療にも使われています。ボツリヌス注射は筋肉を麻痺させるものですが、効果は一時的なので3、4か月毎の注射が必要です。副作用として、眼瞼下垂や閉瞼不全が起こることあります。

このボツリヌス療法は眼科ならどこでも行っているわけではありませんが、まずはお近くの眼科を受診してみましょう。

2.症候性眼瞼けいれん

症候性とはある病気が原因となって症状が引き起こされることを意味します。症候性眼瞼けいれんの原因には次のようなものがあります。

①原因

パーキンソン病や進行性核上性麻痺、脳梗塞などが原因となります。

パーキンソン病は、線条体のドパミン低下とアセチルコリンの増加が原因と考えられています。

②治療

原因となっている病気の治療が必要です。

3.薬剤性眼瞼けいれん

薬剤の内服が原因でまぶたのけいれんが起こることがあります。特に40歳以下でみられる眼瞼けいれんでは、この薬剤性によるものが考えられます。

①原因

抗うつ薬、抗精神病薬、抗不安薬の内服です。これらの薬剤を内服していて眼瞼けいれんが生じた場合には、薬剤性眼瞼けいれんの可能性があります。日本では諸外国に比べ抗不安薬の処方が多いので注意が必要です。

②治療

まずは原因と考えられる薬剤の中止が最優先です。主治医に相談しましょう。

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