まぶたのふち、目のふちのできもの
まぶたのふち、目のふちのできものとしては、マイボーム腺梗塞 や麦粒腫 、霰粒腫 などが考えられます。
また頻度は低いものの、まぶたのふちに腫瘍ができることもあります。
ここでは眼科外来でよく遭遇する以下の病気について見ていきます。
マイボーム腺梗塞
まぶたのふちの小さな白いできものはマイボーム腺梗塞です。
まぶたの中にはマイボーム腺という、涙を構成する成分の一つである油(脂質)を分泌する腺が数十個並んでいます。このマイボーム腺の管はまぶたのふち、まつ毛の付け根の内側に開口しています。
通常マイボーム腺梗塞は無症状ですが、大きなものでは異物感を生じることがあります。またマイボーム腺梗塞があると麦粒腫や霰粒腫ができやすくなったり、マイボーム腺から分泌される脂質が減ることでドライアイになったりします。
1.原因
マイボーム腺の分泌物である脂質が固まり、マイボーム腺が詰まることで生じます。
マイボーム腺の脂質や角化物が固まると白色や透明の固形物となります。開口部にこの固まりが出来ると、まぶたのふちに白いぷちっとしたものが見られるようになります。
2.治療
マイボーム腺梗塞が飛び出して異物感がある場合や、見た目が気になる場合は、これを除去します。まぶたのふちを圧迫して固まりを押し出しますが、なかなか出てこない場合は切開して摘出することもあります。
まぶたを蒸しタオルで温めてマッサージをしたり、まぶたのふちをきれいに洗浄したりすることも大切です。毎日続けて行うことでマイボーム腺の詰まりをとり、マイボーム腺梗塞をある程度予防することができます。
油っぽい食事や、アイメイクがマイボーム腺梗塞の原因になることもあるといわれているので注意しましょう。
麦粒腫
麦粒腫は、俗に「ものもらい」、「めばちこ」、「めぼ」、「めいぼ」などと呼ばれるものです。
まぶたのふちの一部が赤く腫れ、痛みを感じます。炎症が強いとまぶたが大きく腫れたり、白目が充血したりすることもあります。進行すると中に膿が貯まりますが、ほとんどの場合は自然に潰れて膿が出たのち、時間をかけて治っていきます。
ただし、まれに感染が周りに広がり
1.原因
まぶたに存在する腺に細菌が感染することで起こります。皮脂腺(Zeis腺)や汗腺(Moll腺)にできたものを外麦粒腫、マイボーム腺にできたものを内麦粒腫といいます。
原因菌の大部分は、まぶたの常在菌である黄色ブドウ球菌や表皮ブドウ球菌です。
2.治療
細菌感染が原因なので、基本的には抗生剤で治療します。点眼や軟膏の塗布、内服が行われます。
膿が貯まっている場合は、針で刺したり切開したりして排膿すると、治りが早くなることもあります。
霰粒腫
霰粒腫は麦粒腫と同様に、まぶたにある腺の炎症によりまぶたが腫れる病気です。麦粒腫が細菌感染による急性
典型的なものではまぶたにしこりが出来て、押しても痛みはありません。ただし、霰粒腫でも感染を合併すると急性霰粒腫や化膿性霰粒腫と呼ばれ、赤く腫れて痛みを生じる場合もあります。
霰粒腫は放置するとしこりとなって残ることがあるので、早めに眼科を受診しましょう。
1.原因
まぶたにあるマイボーム腺が詰まり、貯留した分泌物が変性し、炎症反応を起こした結果として生じます。
マイボーム腺とは、まぶたの中に数十個並んでいる油を分泌する腺で、まぶたのふちに開口しています。鏡で自分のまぶたのふちをよく見てみてください。うっすらと丸いものが見えると思います。
2.治療
霰粒腫の治療には一般的にステロイド点眼や軟膏が使われます。ステロイドの注射が行われることもあります。化膿していれば抗生剤を投与します。
それでもなかなか治らない場合や、繰り返し霰粒腫ができる場合は、手術で霰粒腫の摘出を行います。まぶたの皮膚を切開することもあれば、まぶたの裏を切開することもあります。いずれも貯留した組織をすべて摘出します。
中年以降に繰り返しできるものは悪性腫瘍の可能性もあるので注意が必要です。摘出したものを病理検査に提出し診断します。
まぶたのふちにできる腫瘍
まぶたのふちに腫瘍ができることもあります。腫瘍には良性腫瘍と悪性腫瘍があります。
良性腫瘍には
脂腺癌は霰粒腫との鑑別が重要です。
脂腺癌
脂腺癌は脂腺(マイボーム腺、Zeis腺)から発生する悪性の腫瘍です。初期の段階では霰粒腫と見分けがつかないことがあり、霰粒腫の再発と診断されて何度か切開や摘出手術を施行されていることもあります。
霰粒腫と比べ、脂腺癌は高齢者に多く、黄色や黄白色で、霰粒腫よりも固いといった違いがあります。そのため中年以降の霰粒腫の手術では、念のため摘出したものを病理検査に提出する必要があります。